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TMR industries 所さんに聞くLTクッカー開発秘話。構想4年、試作は数ヶ月

栃木県真岡市のTMR industries、所さんに開発の裏側を聞きました。きっかけは冬の雪山で所さん自身が経験した「なかなかお湯が沸かない」というもどかしさ。表面にギザギザを刻んだり穴を開けたりを繰り返し、蓋を作ってようやく今の形にたどり着くまで数ヶ月苦しんだ。一番人気はLTクッカーの真ん中のサイズで、それを買った人が後からWRクッカーも買い直すことが多いそうです。

この記事で検証した商品です。(検証日: 2024年9月15日)

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目次(12項目)
  1. 栃木県真岡市のTMR industries、所さんに聞きました
  2. LTクッカーが生まれたきっかけ
  3. 試作品は数ヶ月苦しんだ
  4. 一番人気は真ん中のサイズ、LTとWRの違い
  5. 黒いLTクッカーは店舗限定
  6. アルミの加工はなぜ難しいか
  7. 工場を見学させてもらいました
  8. 所さん自身の持ち運び方
  9. 660サイズはガス缶にぴったり
  10. 新商品の構想と購入方法
  11. ものづくりへの思い
  12. 取材特典のご案内

まず動画で

栃木県真岡市のTMR industries、所さんに聞きました

この回はスタッキング検証ではなく、栃木県真岡市でLTクッカー・WRクッカーを作るTMR industriesさんへの取材です。聞き手はKALUGII代表のさかた、答えているのはTMR industriesの所さんです。

LTクッカーが生まれたきっかけ

雪山でお湯が沸かない経験がLTクッカー開発のきっかけだったそうです 本編の 1:36 から見る

所さんは栃木県真岡市に住んでいて、北に見える日光や那須の山に登るのが趣味。冬の雪山歩きで「なかなかお湯が沸かない場面に何度も打ち当たって」困っていた。

こりゃ何かうちの技術を使って、早くお湯が沸く鍋を作りたいなって思って

これがLTクッカーを作った背景です。頭の中で構想を練っていた期間は4年ほど。実際に作り始めたのは2年半〜3年前で、形状がある程度固まってからは4ヶ月ほどで発売にこぎつけた。

試作品は数ヶ月苦しんだ

開発初期の試作品。表面にギザギザを刻んで表面積を増やしていました 本編の 3:46 から見る

最初の試作は、表面にギザギザの凹凸を彫って表面積を増やす形状でした。ただ「実際のところそんなに早くならなかった」そうです。

次はギザギザをやめて、別の方法で表面積を作る形を試しましたが、今度は「全部上に熱逃げちゃって全然うまくいかない」。原因は蓋がないことだと気づき、蓋を作ってみたところ、ようやく「ぴったり合う」形になった。ここまで数ヶ月苦しん。

その後、5軸複合加工機という機械を導入したことで、現在の細かい形状が作れるようになりました。今のLTクッカーは、この加工機を使った一般的なCNC旋盤の自動加工で作られています。

一番人気は真ん中のサイズ、LTとWRの違い

LTクッカーとWRクッカーの違いは重さとデザイン 本編の 6:33 から見る

ラインナップの中で一番売れているのはLTクッカーの真ん中のサイズ(ノーマルサイズ)。そしてこれを買った人が、なぜかあとからWRクッカーも買い直すことが多いそうです。

  • LTクッカーとWRクッカーの違いは見た目のデザインと重さ。WRのほうがギザギザを増やしつつ数グラム軽い
  • 沸騰スピードを一緒にテストすると「WRは負けたことはない」。ただし差は数秒程度
  • 3番目に売れているのはLTクッカーの660サイズで、湯沸かしの容量を大きくしたい人や、調理の幅を広げたい人が選んでいるそうです

黒いLTクッカーは店舗限定

黒いLTクッカーは店舗限定。アルマイト加工で仕上げています 本編の 7:59 から見る

黒いLTクッカーは、今のところ栃木県真岡市の工場に隣接するカフェ兼展示スペースの店舗だけで販売されています。

黒は一般的なアルマイト加工によるもの。クッカーを作っていると、傷がついたり見た目が良くない個体がまれに出てしまい、「一個作るのに結構な時間かかるんで出るのが惜しい」ため、塗って見た目を整えたのが始まりだったそうです。

現在は真ん中のサイズのみですが、今後は全サイズで黒シリーズを展開する予定。黒だから熱を吸収しやすいといった機能的な効果は「特にない」そうで、アルマイト加工には米がつきにくいという特性がある。

アルミの加工はなぜ難しいか

アルミの加工は特性上とても難しいと聞きました 本編の 13:22 から見る

他社にアルミ製のクッカーが少ない理由を聞くと、加工の難しさが理由でした。「アルミを薄くすると、機械にどこにセッティングするかが非常に重要」で、薄くて軽いぶん機械で挟むと変形してしまう。

薄くて軽いから、こうやって噛むと、もうぐちゃって潰れちゃうんですよ

薄く加工すると破れてしまうこともあり、「アルミの特性上、作るのが非常に難しい」。ちなみに一般にはチタンが一番軽いイメージがありますが、質量そのものはアルミのほうが軽いそうです。

工場を見学させてもらいました

導入した5軸複合加工機。取材時はちょうど660サイズを削り出していました 本編の 20:33 から見る

後半は工場も見学させてもらいました。今の複雑な形状を作れるようになったのは、この5軸複合加工機を導入してから。加工中は金属の飛び跳ねと摩擦熱を防ぐための液体を使っていて、取材時にはちょうど660サイズが削り出されている最中でした。

所さん自身の持ち運び方

スタッキングや周辺ギアについても、実際に使っているものを見せてもらいました。

  • ノイコヤマイコ 蓋プレート … LTクッカー真ん中サイズにぴったりはまる(WRクッカーの同サイズにも使える)。ただし660サイズには小さすぎて使えない
  • レイズモア(栃木県小山市の近隣ブランド)の「ゴーストバンド」… 所さんが「最高です」「大好きです」と評していたベルト状のアイテムで、2個セットで販売されている
  • FDストーブ … ねじを開けると蓋として使え、使いかけのファイアドラゴン(固形燃料)を再利用できる。アルコールとバイオエタノールの液体燃料も使用可能。本体の材質はアルミ
  • LTパン … 蓋にはならないが、裏面がLTクッカーと同じく熱を吸収しやすい構造。使用後、油で汚れたままでも収納袋にそのまま入れられるので後片付けが楽
  • ポットリフター(グリッパー) … カーボン製。LTクッカー本体だけでなく、LTパンをつまむのにもよく使う
  • 小さいサイズは専用のポーチで携帯していて、収納袋も自社で作っている

660サイズはガス缶にぴったり

660サイズのクッカーバッグには、ガスとおしぼりを一緒に収納している。使っているのは3ヶ月ほどで土に還る生分解性のおしぼりです。

660サイズを使うときは、まず一番底に660用のLTパンを敷き、その上にMSRのポケットロケット2用のガス缶(110サイズ)を置くとぴったり収まります。もう一つのMSRのガス缶(227サイズ)は、このサイズには合わない。

コーヒー用にはウィルドゥ フォールダーカップを使っています。軽くて安いのが理由で、使い始めたのは取材の少し前。330を持っていくときは、お湯を沸かしている間の蓋代わりにすることもあるそうですが、ガスストーブは火が不安定で溶ける危険があるためNGで、火が安定するFDストーブのときだけ使うそうです。火をつける道具はマッチをメインに携帯し、ライターは非常用。

新商品の構想と購入方法

新商品については、「今まで世の中にはあるけれど軽くないもの」を、自社の削り出し技術で作る構想がいくつかある。情報はInstagramでときどき発信されるそうです。

オンライン販売は主にInstagramの投稿で告知され、金曜日の19時30分から販売開始になることが多い。ただし黒いLTクッカーは店舗限定です。実際に手に取って選びたい人は、栃木県真岡市の店舗まで足を運ぶのがおすすめ。

ものづくりへの思い

最後に、所さんからのメッセージです。

町工場がこんなことをするっていうことによって、職人の間口を広くしたいと思って、こんなことをしているんですけど、町工場の可能性を大きくして、職人を一人でも増やして、日本のメイドインジャパンを守るというか、大きくすることに少しでも貢献できたらなっていう思いで頑張って活動しています

所さん自身、勉強が苦手な若者だったそうで、「勉強が苦手だったら職人になろう」というプロジェクトも進めている。

取材特典のご案内

今回、取材を受けてくれた栃木県真岡市のTMR industriesの店舗で、LTクッカーまたはWRクッカーを購入した先着5名に、KALUGIIのドリクリップ(コーヒードリップ用の注ぎ口)がプレゼントされる。

この検証をしている理由

このサイトを書いているのは、僕(さかた)です。KALUGII/カルギイ でチタンギアを作りながら、スタッキングだけを専門に研究しています。他社の道具も全部、自分のお金で買っています。だから入らないものは「入らない」と書けます。

検証してほしい道具があれば、公式LINEから教えてください。リクエストの多かったものから、僕が買って検証して記事にしています。(全部にはお応えできませんが、必ず目は通しています)

すき間外側の内径内側の外径外側の内径 − 内側の外径 = すき間○ 入るすき間 2mm以上△ ギリギリすき間 0〜2mm× 入らないすき間 マイナス※ 数字だけでは決まりません。取っ手やフチが当たることがあります
すき間の引き算と、入る・入らないの境目

この記事に出てくる道具 4点

写真はメーカー・販売ページのものです。押すと実測値のページへ行けます。

この記事で検証した商品です。
この記事は、日本一のスタッキング研究者である KALUGII/カルギイ 代表のさかたが書いています。

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この中に、お持ちのものはありますか

同じ商品を2人が測ると、その数字は確定値になります。私の実測が1件目なので、あなたが2件目です。定規でも構いませんし、測れた項目だけで大丈夫です。

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この記事に出てくる組み合わせの、完全版

KALUGIIチタンカップ300NH/400NHが「どのクッカーに入るか」を1枚にまとめた早見表PDFを、 公式LINEで無料配布しています。

この記事に無い組み合わせで「これ入りますか?」があれば、LINEで教えてください。 すべてにお応えすることはできませんが、いただいた中から順に重ねて確かめ、記事にしています。 同じことを知りたい人に、まとめて届くようにするためです。

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このサイトを作っている人

KALUGII

さかたKALUGII/カルギイ 代表・スタッキング研究者

キャンプ・登山ギアのスタッキング——カップやクッカーを1つずつ重ねて、すき間なくひとまとめに収める積み方——だけを専門に研究しています。 他社製品を233点集め、5,000パターン以上の組み合わせを 実際に手で重ねて確かめてきました。YouTubeチャンネル「スタッキング大学」では 検証動画を144本公開しています。

自身のブランドKALUGII(カルギイ)では、 軽量コンパクトなコーヒーギアを作っています。注ぎ口クリップの ドリクリップと、スタッキング U.L. コーヒードリッパー。 設計から製造の手配まで自分で行っています。

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